本日は金利上昇と債券価格の関係についてお話しいたします。教科書的な話となりますが、ご了承ください。
FRBは3月のFOMCで、政策金利を0.25%利上げをする見込みとなっています。
また、インフレ対策として徐々に政策金利を上げていく方針を掲げています。
この利上げに対して直接的な影響を受ける資産が債券・もしくは債券ファンドです。
基本的に金利が上がれば、債券価格は下落します。この関係について、例を使ってご説明いたします。
2013年1月に金利5.0%、2022年満期、A社の10年債が発行され、購入するとします。債券は基本的には市場の金利と発行体(この場合はA社)の信用リスクを考慮して、発行時の金利が決定します。(ほかにも要因はありますが割愛)
同じタイミングで仮に同年限の米国10年国債を購入していた場合、金利はおよそ2.0%で発行されています。(下記参照)A社は米国とくらべて信用力が劣るため、5.0%での発行となったということは、A社の信用リスクは3.0%と計算されます。(基準金利+信用リスク=2.0%+3.0%=5.0%)
(出典:Investing.com)
その後FRBは2015年12月から2019年1月まで利上げをしました。0.25%であった政策金利は2.5%まで上昇。それに伴い実際の債券利回りも上昇しています。
(出典:Investing.com)
A社債券購入から5年後(2018年)の価値はいくらになっているか、上記の要因から考察します。
5年後(2018年)の上記銘柄は、発行から5年経過しているため、満期までの残存期間は5年の債券となります。
債券の価値は発行通貨の国債利回りと比較するため、米国5年国債の利回りを確認します。
(出典:Investing.com)
仮にA社がこのタイミングで5年満期の債券を発行した場合、信用リスクが変わっていないとした場合、基準金利+信用リスク=2.5%+3.0%=5.5%の債券を発行することとなります。
ただし、現在保有している債券は5年満期の5.0%の債券です。金利が上昇している今、仮に売却しようとしても、新規発行の債券と同じ発行体同じ残存期間で金利だけ低いとなれば、売りに出しても値段を下げない限り誰も買いません。金利上昇時に債券の価格が下がるという理由はここにあります。(金利と債券価格の説明のためその他要因は省きました)
更には、残存期間の長い債券は、金利変動の影響をより受けやすいという性質もあります。
(出典:モーニングスター)
米国の金融政策は、方向性が決まれば通常3-5年程度継続します。今回の利上げは通常よりも速いペースで行われる可能性も言及されています。
現在保有の債券もしくは債券ファンドについて、商品次第では米国利上げ局面に適さない商品もあります。投資方針やリスクヘッジなどの考え方によるところもありますが、ポートフォリオの見直しも検討すべきかと思います。
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