トランプ大統領の関税政策の影響で、市場のボラティリティが高まっています。
そんな中、気になるのがトリプル安と呼ばれる、「株安、債券安、ドル安」です。これは4月に入ってから顕著です。
高い関税によりインフレ懸念、景気後退懸念、株安。これはわかります。単純に景気悪くなりそうですし、近年問題視されてきたインフレを助長するような政策となるためです。
インフレ懸念の再燃により、金利上昇、債券売り、債券安。なるほどそうか。株と債券はリスク資産と安定資産という対極の位置づけをされることが多く、株が売られると債券が買われという流れになることが多い。しかし今回は株安の原因の一つにインフレ懸念があるため、金利上昇懸念から債券売りになるバイアスのほうが強いということかと思います。
そして為替。ドル安推移が続き、直近では1ドル142円台となっています。株・債券のダブル安は珍しいことではないですが、ドルまで売られる「トリプル安」は珍しい。為替は様々な要因で変動しますが、基本的には金利の動きとの相関性が高い。下記ご覧ください。
(出典:Investing.comより)
青線が米国10年債利回り、赤線がドル円チャートです。この二つはおおむね相関関係にあり、金利が上がればドル高となります。しかし今年の4月(青矢印)以降、青線の金利が上がっているにも関わらず、赤線のドルは売られドル安での推移となっています。
ちなみに誰が仕掛けたかという話が界隈で話題となっていますが、中国が大量の米国債を売却し、さらにはドルを売ったものだといわれています(定かではない)。対中関税に対する反撃だとか。あくまで憶測ですが。
結果として株が売られ、債券も売られ、さらにはドルも売られている、アメリカ売りが、4月以降起きています。そしてこれを受けて今後をどう見るか。個人的な考えを記載します。
【株について】関税政策等の情勢が落ち着けば(どんな結果であれまとまれば)投資マネーは米国回帰が進み、株とドルは買われると予想しています。落ち着く時期としては数か月先かと思いますが、逆に言えばそれまでは相場が不安定、よく言えば株の買い場になりうると考えています。株でギャンブルするならここから数か月の間がチャンス。資産形成目的ならば相場が上昇トレンドに転じるまで待ちましょう。
【債券について】債券マーケットについては落ち着くのはまだまだ先になる可能性があり、株やドルよりも時間がかかると考えています。今年は債券が買われる要因は少ないと考えており、金利は現状の水準を維持、なかなか下がらないのではと思います。債券を買うには良い環境が続きますが、ポートフォリオの評価は簡単には上昇しないかもしれません。
【為替について】為替について、投機筋の円ポジションは2月以降米ドル売りポジションが積み上がっており、どこかで反転してくるのではと考えられます。ドル円で言えば140円は一つの節目になるため、いずれポジション解消・ドルの買戻しが入ることを想定するのであれば、140円前後でのドル買いを検討してよいかもしれません。金利差を考えても、いずれ何かのきっかけでドル高回帰ありとみています。あまりに不景気になった場合のFOMCの量的緩和がドル安バイアスがかかる不安材料となりますが、現状パウエル議長は慎重姿勢を示しています。
余談ですが、じゃあ売られた資金はどこへ行ったの?というと、中国やドイツに流れたといわれています。中国やドイツの債券市場はここのところ買われて利回り低下基調にあり、資金の逃避先になっているとの見方。よく見ると株式マーケットも4月に下がったものの年初から上昇していました。今後の展開によってはポートフォリオの見直しも検討しなければならないかもしれません。
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