昨晩発表された米国CPIは市場予想(8.8%)を上回り、前年同月比9.1%となりました。
そもそもCPI(消費者物価指数)とは、消費者が購入する商品やサービスの小売価格の変動を調査した経済指標です。
これは遅行指数であり、一般的には株式市場にとってそこまで重要視されてきませんでした。現時点の正確な物価を判断する物差しとしては不十分な点があります。
ですが今年に入りロシアウクライナ情勢等も相まって、資源や小麦等の価格が上昇。インフレファイターとしてFRBが利上げをしてくるわけですが、その利上げは株式市場にとってマイナスに働きます。では利上げの確率や利上げ幅はどうなるのかという点を判断する基準としてCPIの推移が重要視されるわけです。
CPIの算定方法のうち不動産価格(これも遅行指数)と資源価格の影響が全体の半分程度占めているようで、これらは直近ではすでに値下がりしていることから、遅行して動く今後のCPIの値は落ち着いていく可能性があるかと考えます。
これを踏まえて、昨晩のCPIとその影響について考察していきます。
(出典:Investing.comより)
市場予想を上回ったにもかかわらず米国株式市場の下げは限定的で、長期金利はここのところ下落しています。
(出典:nikkei225jp.comより)
(出典:nikkei225jp.comより)
昨日のメールでも言及しましたような理由から相場は底打ち期待があり、今回のCPIの上昇(悪材料)を受けても崩れにくくなっている可能性があります。
個人的な推奨投資先と簡単な理由については
- 日本株
日銀の積極緩和姿勢もあり、下値不安少ない。ドル建て投資は尚良しか。 - 米国株
年初から売られたところからのリバウンドが期待できる。 - 米ドル建て個別債券(ファンドはNG)
現状短期ゾーンは逆イールド、金利上昇見通しが落ち着くことを考えれば、投資妙味あり。
逆に推奨しない投資先としては
- 中国株・アジア株
中国の感染者再拡大の影響を確認すること。 - 欧州株
ロシア産天然ガス供給供給停止の影響を確認すること。 - 資源エネルギー関連株
原油価格が落ち着き、低下しつつある、上述の中国の需要落ち込みも悪材料。
ご意向等あれば推奨ファンドをピックアップします。ご相談も随時受付させていただきます。
また、CPIの上昇を受けて、ドル円相場が一段と円安に動いています。CPIの大幅上昇から米国の利上げ姿勢に拍車がかかると考えられ、金利差拡大懸念からドル円相場は138円台に突入しています。
(出典:nikkei225jp.comより)
以前より一部のお客様にはお話ししてきましたが、ドル円相場は1998年につけた147円まで節目がない点は注意が必要と思います。これには更なる強い理由が必要となりますが。
なお、日本政府としては為替に対して「一層の緊張感を持ち注視」しているようです。自分からは何もできないとき、今後は私もこの言葉を使いたいと思います。
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