本日は為替動向について、先日行われた為替介入を含めて考察します。
①. 日本政府は9月22日、ドル売り円買いの為替介入を実施。為替介入によりドル円は145円台から一気に140円台へドル安円高が進行。しかしその後は為替介入が実施されず、徐々にドル高円安に回帰。
②. 10月12日には介入レートを突破。
③. 10月15日にはバイデン大統領が「ドル高は気にしていない」と発言してドル高に拍車がかかり、
④. 本日10月18日は149円台に突入しています。
(出典:Smart Chart PLUS)
為替介入の目的は行き過ぎた円安に歯止めをかけることでした。しかしその後は為替介入がなかったため、146円を突破してからは円安進行が速い。
市場からは日本政府の為替介入はそこまで脅威ではないとみられているようです。それは為替介入の“残弾”に限りがあるからです。
下記は今年8月末の日本の外貨準備高です。約190兆円の外貨準備高があり、中国に次ぎ世界2位となっています。
為替介入はこの外貨準備高を使って日本円を買う行為を言うのですが、前回9月22日には2.8兆円分の円買いを行いました。単純計算で残りの外貨準備高は187兆円あります。
ただしこの187兆円は、すべて現金ではないことがわかります。大半を占める証券(米国債など)については、現金化することは米国との関係上容易ではありませんし、米国債は売却すれば金利上昇につながるため、ドル高円安を助長します。
実際に為替介入に利用可能な預金部分は現状約20兆円、前回と同規模の為替介入を行うのであれば、残弾はあと7発しかありません。何年もかけて積み上げてきた外貨準備をそう簡単に使えないと、マーケットからみられているようです。
(出典:日本経済新聞)
先日お客様から、いまのドル円レートは割高ですか?と、質問がありました。私は為替に割安・割高という概念はそもそも存在しないと回答しました。
例えば株価であれば、企業の業績等によってPER等が算出され、買われすぎ売られすぎからの割高割安と判断ができます。ただし為替の場合は、仮に日本の経済が堅調で魅力的であっても、米国経済が日本より状態が良ければドルが買われるように、株価と違って相対値となります。ドルの魅力が落ちても日本の魅力がさらに落ちればドル高円安に進むのが為替です。
FRBは利上げ継続、日銀は金利を上げられないこの環境下で、物理的なドル安円高圧力となるのが為替介入ですが、これも現状では一時的な効果しか出ていない。何も変わらなければドル高円安トレンドが継続します。
ドル資産を持っていても、円安だからと言ってこのタイミングで円転することはあまりお勧めしません。ポートフォリオにドル資産の比率をしっかり保つことが重要です。
今後の見通しを立てる上で重要なのは米国の金融政策、その決定要因となる経済統計です。インフレ退治が一番のポイントであることは変わりません。
2023年には米金利高止まりが予想されているため、この辺りを底に、マーケットは上昇に転じるのでは。逆業績相場から金融相場への移行も近いのではと考えています。(市況メモ20221006参照)
その他話したいトピックはたくさんあり、マーケットの好材料として下記好材料が挙げられます。
- 45日ルールをパスし、上値を抑える圧力が一つなくなった
- 中間選挙後は相場上昇しやすい
- 翌年は大統領選前年となり、統計上株高になりやすい1年になる、などなど
逆に悪材料も多数あります。
- インフレ
- ロシアウクライナ問題
- IMFによる世界経済成長見通しの下方修正、などなど
相場が下がったからと言ってここで資産を手放してしまって翌年以降相場上昇に転じた際に取りこぼすことが、一番してはいけないことだと思います。
相場上昇局面にしっかりついていけるファンド・ポートフォリオ形成をしておくことが重要です。相場トレンドは必ずローテーションしています。
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