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今回は内容が多いため、まずは要約から。

【要約】

  • 債券購入環境について
    早めが吉、逆イールド解消までがメドか
  • SVBの破綻とその影響について
    リーマンショックのような状況には発展しないと想定
  • 相場についての所感
    基本的なスタンスは変わらず、2023年は仕込む年になるか

【債券購入環境について】

先日の市況メモ20230228で言及しましたように、債券の購入に関してよい環境にあると考えています。

しかし先週金曜日から報道が始まったアメリカのシリコンバレーバンク(SVB)の破綻の影響で相場が動き、金利は急低下しています。

実体経済への影響が心配され、次回3月22日のFOMCの利上げ確率に関しても、1週間前までは50bpsの利上げが優勢だったにもかかわらず、現在では利上げ見送りとなる可能性が一番高いと想定されています(下記参照)。

(出典:CME Group Inc.ホームページより)

これを受けて米国金利市況にも動きが出ており、金利は全体的に低下しています。特徴的なのは、逆イールドの金利差が縮小していることだと思います。

下記は米国2年債利回り(オレンジ)と10年債利回り(青)の比較チャートとなります。昨年7月以降に逆転し拡大してきた長短金利差が、直近で縮小していることがわかります。

(出典:Investing.comホームページより筆者作成)

これだけ低下してきたとはいえ現状の金利水準でも歴史的にみれば高水準となっており、まだまだ買い妙味ありと考えます。

できれば先ほどお話しした逆イールドが解消する前までに購入することが良いのではないかと考えています。すぐに解消するとは思えませんが、急にマーケットが動くこともありますので、ご検討いただいている方はなるべく早めが良いかと思います。

(出典:Investing.comホームページより筆者作成)

【SVBの破綻とその影響について】

今回のSVBの件がリーマンショックのような世界的な金融恐慌に発展する可能性は低いと思います。その理由は下記のようになります。

  1. リーマンショック以降、金融機関の連鎖的破綻につながらないように資本規制を強化していること
    リーマンショックで連鎖破綻が起きた教訓から、バーゼル規制というものができました。所謂メガバンクは純資産を積み増し、信用不安が起きた際にも連鎖破綻につながらないような体力づくりをして今に至ります。今回の件でアメリカのメガバンクも株価が大きく下落しているものの、破綻につながるほどの影響が出ているわけではありません。
  2. 破綻の直接の原因が、SVBの資産運用(ポートフォリオ)にあること
    SVBのポートフォリオの大半は満期保有目的の国債が中心となっていて、これらをFRBの利上げ前に仕入れていたようです。2022年から始まった強烈な利上げの影響で評価損が生じ、資金繰りのために売却せざるを得なくなったことから、株式による資金調達を発表、投資家は危機を感じ、大暴落へつながっています。その他の金融機関がSVBのように満期保有の国債に傾斜したポートフォリオになっているのであれば別ですが、そのようなことはないと考えられるため、固有の要因といえると思います。
  3. 政府が預金保護を発表し、火消をした
    この問題が表面化したのが3月8日、米金融当局が預金保護を発表したのが13日と、早期対応に動きました。リーマンショックのときはこれがなかった。

上記の理由から、金融恐慌にはつながらないと考えています。一部の中小が破綻になるケースはあれど、リーマンショックのような連鎖破綻にはつながらないと思います。

また、昨晩からクレディスイスの財務不安が話題となっていますが、もともとクレディスイスはこの問題が起きる前から財務内容が不安視されており、今回の件で状況が悪化したわけではありません。

スイス中央銀行による支援が発表されたこともあり、この件は落ち着いていくと考えられます。

金融機関の破綻懸念という共通項以外に類似点はなく、原因も全く違うため、今回のSVBの問題とは切り離して考える必要があります。

【相場についての所感】

先週末から始まった米SVBの破綻を受けて金融恐慌不安が想定され、不安心理が台頭、相場は大きく動きました。どう動いたかまとめると、

  1. 株は金融株中心に下落
  2. 債券は買われて上昇(金利は低下)
  3. 安全資産として金が買われて上昇

2022年の相場は、どのようなことが起きても基本的にはFRBの利上げがどうなるか「だけ」が焦点となっていたと思います。よって、FRBが強烈な利上げを推進した結果、株・債券・安全資産のすべてが下がりました。今回のSVB破綻の件が利上げを躊躇させるのではないか、これはFRBの利上げが遠因となっているからです。

今回のSVBの件が悪材料とみなされたことを、私は“正常な”マーケットに戻ったように感じました。少なくともこの1年、上記の3つがこんなに教科書通りに相関したことはほとんどありません。

そして、リーマンショックのような金融恐慌に突入していくのであれば、債券まで売られることが多いです。今回はそうではなく、債券は買われています。

運用に対する基本的な考え方は変わらず、異常だった昨年の相場の逆張りをしていくことが、私の考える投資スタンスとなります。

①何から先に上昇するか

②何が割安になっているか

この2点を考えた結果、今のうちに債券・金を購入することが良いと考えています。

株は米国株中心に購入推奨水準だと考えていますが、上昇するまで時間はかかるかもしれないと思います。ただ、上昇余地が十分あるので、中長期視点で購入していくことが重要かと考えます。

少し気になる点としては、円高方向にいきやすい環境となっていると思います。

日本の税制を考慮すると、円高に行く想定であれば円安のうちに外貨資産を購入しておくことが有利となります。

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